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平成11年度東北工業技術研究所研究評価実施結果
評価委員 島田昌彦 東北大学素材工学研究所 教授 (委員長) 餌取彰男 (財)日本科学技術振興財団 理事 石丸公生 (株)関西新技術研究所(KRI)取締役相談役 村田朋美 (株)新日鐵 顧問 岡田雅年 科学技術庁金属材料技術研究所 所長 山口正治 京都大学大学院工学研究科 教授 斉藤哲郎 東北電力株式会社研究開発センター 所長 碇屋隆雄 東京工業大学大学院工学研究科 教授 鎌田 仁 山形県テクノポリス財団生物ラジカル研究所 所長 Phillip E. Savage 米国ミシガン大学工学部化学工学科 教授
結 果 概 要東北工業技術研究所は、平成5年の改組と同時に研究分野の重点化を進め世界的水準の研究活動に努めてきた。本評価は、以来6年を経過した時点での評価を行ない、それを基に今後の研究所運営の指針を与える観点から行なった。総論的には、少ない研究者で優れた業績を上げ、産業や地域への寄与も少なからぬものがあり、これまでの努力に対して敬意を表するものである。今後、全体としての研究の方向や研究戦略の議論を深め、内容的な充実を計ることができれば更に大きな発展が可能であろう。それについては以下に述べるが、これらの指摘を参考に、東北工業技術研究所が我が国の科学技術の進歩と産業の発展に更に貢献するよう強く願うものである。
超臨界流体反応プロセスについては、新規性・独創性、産業ニーズ・社会的ニーズ、あるいは研究の発展性から判断して、高い評価が与えられる。特に基礎物性の解析研究については世界的レベルで、新規性、独創性とも優れている。また、このような基礎科学的な知見をもとに有機合成反応に取り組んでいることも評価される。ただし、合成反応については基礎物性の解析と同等またはそれ以上に力を入れるべきである。現有の基礎物性グループの他に、所外の専門家を加えた強力な合成研究グループを形成し、本研究分野に期待される目標の達成に努力することが重要である。廃棄物処理等の環境保全技術については、産業界からの期待がある反面、すでに産業界が実施しているところも多いことから国研の仕事ではないのではないかとの相反する意見がある。院内他研究所や企業、大学のポテンシャルを積極的に活用し、産業界の技術開発を先導する観点から今後の研究を進めるべきであろう。何でも自分のところでやることは必ずしも得策でないと心得るべきである。
所内の研究者配置、テーマ選定のプロセス、研究管理体制についてはほぼ適切であり、少人数で機動力ある運営がなされている。また、平均年齢の高さをカバーするため、優秀な外国人研究員を多数導入し活性化を図っていることも評価される。また、それらを含め研究者が自由に研究する場が確保されていると感じる。一方、超臨界分野に他の研究分野の研究者が取りこまれることにより異分野融合も始まり、研究部と研究分野が対応しなくなっている。研究および管理面での効率を考えると、各研究グループを所が直接に管理すべきであろう。外部との交流は現状では必ずしも活発に行われていないが、今後COE化に向けて、研究者の流動性を高めるとともに、人材の重点配置に更に努力する必要がある。評価については現行制度内で十分機能していると考えられるが、論文の数が重要ではなく、研究レベルやオリジナリティの高さを評価することが大切である。研究者の士気を高めるためにも評価法を検討してほしい。
スペースは十分確保されているし、設備についても良く整備されている。今後は研究目的に応じた自前の計測ツールや解析関係の充実が必要であろう。研究費も高い水準にあり、自由で競争的な研究環境も実現しているので、それに見合った研究成果を発信する努力が求められる。
いずれも適切に行なわれていると判断するが、研究交流については東北大学は別として、他の研究機関との交流に積極さが欠ける面が見られる。特に院内においては具体的な研究交流や連携を積極的に推進する必要がある。また、地元からの信頼は必要であるが、地域貢献は国際的な競争も視野に入れてバランス良く取り組むことが望まれる。
論文、口頭発表、特許についてはほぼ適切な数といえるが、更に努力を要する研究分野もある。論文の質はほぼ適切である。但し、ポスドクの多さ、学位保持者の数、設備の優秀さを考慮すれば、質、量ともに必ずしも十分とはいえないので、さらに努力を要する。特許の実施は多いとは言えず、積極的な売り込みが必要である。そのための成果の普及・広報の重要性を指摘しておきたい。
限られた陣容でありながら密度の高い研究が複数あり、グローバルに研究できるレベルに達している。東北に存在するからといって、東北の連携の中核である必要は無く、全国、あるいは国際的な視点を重視すべきであろう。また、所長を始め執行部は積極的にリーダーシップを発揮しているが、その姿勢を研究者が必ずしも十分に理解しているとは言い難い。独立行政法人化を好機として捉え、所内組織を大胆に見直すとともに、適正な人材配置に努め、研究戦略あるいは研究シナリオの再検討を行うことが肝要である。
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